vol.5 ― なめし方法 ―
私たちの身の周りで使われている革は動物の皮膚から出来ており、多大な時間と人の手による様々な工程を経て「皮」から「革」が完成します。この工程の中でもなめし作業は特に出来上がる革の手触りや風合い、特性に大きく影響します。だからこそAlt81も革を使った商品を作る際は非常にこだわるポイントなのです。そんななめしには代表的な種類がいくつかあり、それぞれに秀でた特徴が異なります。そこで今回は、革を作るために欠かせないなめしの種類について少し詳しくご紹介いたします。
製革工程を振り返ってなめしに着目してみましょう。牛や馬など革の原料となる皮が腐敗しないように塩漬けや乾燥処理などを施された「原皮」も、そのまま放っておけばいずれ腐敗し硬くなってしまいます。そのため皮を柔らかくし強度やしなやかさを加える工程――それがなめし作業です。具体的には、なめし剤を使用してコラーゲン繊維からなる皮組織を結合させて安定した素材にすること。この作業を行ってはじめて「皮」から「革」になる。いわばなめしは製革の根幹をなす工程と言えます。
では、現在主流となっているなめしにはどんなものがあるのでしょうか?大きく分けて3種類あります。「フルタンニンなめし(通称「フルタン」)」「クロムなめし」「ヘビーレタンなめし(通称「ヘビタン」「コンビネーション」なめしとも呼ばれる)」。おそらく皆さんも耳にしたことがある言葉だと思います。これらの詳しいなめしの違いはぜひ下の表をじっくりご覧いただきたいのですが、つまりそれぞれなめし方が違うため、当然なめす際に使用するなめし剤も異なりその手順や手法も異なるわけです。そして何と言っても革になった時の特徴が全く違う、というのが最も面白い点です。ちなみにこれら3種類以外にも魚油などの動物油を使ってなめす「油なめし」などが存在し、日本の伝承皮革では甲州印伝革や姫路白なめし革などが有名です。
普段何気なく鞄や小物、靴や家具など様々な用途で使われている革素材。じつはその8割はクロムなめしを施されたもので、最も多く普及されています。その大きな理由はなめし時間の短さから。一方フルタンニンなめしはクロムなめしと比べて時間も労力も要してしまうため縮小傾向でしたが、近年排水処理などの環境問題から見直され始めています。自然素材を見直す意識が高まっていることも理由の一つと言えるでしょう。
現在当たり前のように行われているなめしですが、意外にも歴史は古く、人間が狩猟を始めた頃にまで遡ります。動物の肉を食した後余った皮を利用するために植物の煙で燻したり、動物の脂に漬けたりするなめしが行われていたそうです。また、日本では塩や水、菜種油などを使用してなめす方法がありました。つまり古来から革として利用するために繰り返された試行錯誤は代々受け継がれ、さらに現在なお新たな挑戦と進化を繰り返している。これは革が魅力的な素材であること、そして革に求める要望が今も尽きないことを物語っているのではないかと私たちは考えています。
では、このようになめし方法に種類があると皆さんにとってどんな利点が生まれるのでしょう?方法が多いことは出来上がる革の種類を豊富にすることを意味し、つまり求める要素をより多く満たした革を作り出すことが可能になります。例えば、男性向けの商品なら育てる感覚を味わえるよう色艶といった変化を存分に愉しめる革を、女性向けの商品なら使い始めから柔らかくフォルムもなるべく変化しづらい革を、などお客様をイメージした商品を作る上でより希望に沿った革に近づけることが出来、そして革の可能性は無限に広がるわけです。Alt81の商品も様々ななめし方法を施した革を使用しています。そして、なぜその革を選んだか理由があります。商品に使用している各革を詳しく説明したページをご用意しておりますのでぜひ見比べてお好みの革を発見してみてください。
(通称:フルタン)
(通称:ヘビタン)
別名「コンビネーションなめし、複合なめし」
※ ヘビタンは、フルタンやクロムなめしと違い使用するなめし剤の組み合わせによって方法も出来上がる革の特徴も異なるため、フルタンやクロムなめしのように一概に定義することが出来ません。また、原皮に最適ななめし剤の組み合わせ、なめし方法をタンナーは常に研究を重ね作り上げているため、現在もヘビタンの種類は増え続けています。
vol.5 ― なめし方法 ―
私たちの身の周りで使われている革は動物の皮膚から出来ており、多大な時間と人の手による様々な工程を経て「皮」から「革」が完成します。この工程の中でもなめし作業は特に出来上がる革の手触りや風合い、特性に大きく影響します。だからこそAlt81も革を使った商品を作る際は非常にこだわるポイントなのです。そんななめしには代表的な種類がいくつかあり、それぞれに秀でた特徴が異なります。そこで今回は、革を作るために欠かせないなめしの種類について少し詳しくご紹介いたします。
製革工程を振り返ってなめしに着目してみましょう。牛や馬など革の原料となる皮が腐敗しないように塩漬けや乾燥処理などを施された「原皮」も、そのまま放っておけばいずれ腐敗し硬くなってしまいます。そのため皮を柔らかくし強度やしなやかさを加える工程――それがなめし作業です。具体的には、なめし剤を使用してコラーゲン繊維からなる皮組織を結合させて安定した素材にすること。この作業を行ってはじめて「皮」から「革」になる。いわばなめしは製革の根幹をなす工程と言えます。
では、現在主流となっているなめしにはどんなものがあるのでしょうか?
大きく分けて3種類あります。「フルタンニンなめし(通称「フルタン」)」「クロムなめし」「ヘビーレタンなめし(通称「ヘビタン」「コンビネーション」なめしとも呼ばれる)」。おそらく皆さんも耳にしたことがある言葉だと思います。これらの詳しいなめしの違いはぜひ下の表をじっくりご覧いただきたいのですが、つまりそれぞれなめし方が違うため、当然なめす際に使用するなめし剤も異なりその手順や手法も異なるわけです。そして何と言っても革になった時の特徴が全く違う、というのが最も面白い点です。ちなみにこれら3種類以外にも魚油などの動物油を使ってなめす「油なめし」などが存在し、日本の伝承皮革では甲州印伝革や姫路白なめし革などが有名です。
普段何気なく鞄や小物、靴や家具など様々な用途で使われている革素材。じつはその8割はクロムなめしを施されたもので、最も多く普及されています。その大きな理由はなめし時間の短さから。一方フルタンニンなめしはクロムなめしと比べて時間も労力も要してしまうため縮小傾向でしたが、近年排水処理などの環境問題から見直され始めています。自然素材を見直す意識が高まっていることも理由の一つと言えるでしょう。
現在当たり前のように行われているなめしですが、意外にも歴史は古く、人間が狩猟を始めた頃にまで遡ります。動物の肉を食した後余った皮を利用するために植物の煙で燻したり、動物の脂に漬けたりするなめしが行われていたそうです。また、日本では塩や水、菜種油などを使用してなめす方法がありました。つまり古来から革として利用するために繰り返された試行錯誤は代々受け継がれ、さらに現在なお新たな挑戦と進化を繰り返している。これは革が魅力的な素材であること、そして革に求める要望が今も尽きないことを物語っているのではないかと私たちは考えています。
では、このようになめし方法に種類があると皆さんにとってどんな利点が生まれるのでしょう?
方法が多いことは出来上がる革の種類を豊富にすることを意味し、つまり求める要素をより多く満たした革を作り出すことが可能になります。例えば、男性向けの商品なら育てる感覚を味わえるよう色艶といった変化を存分に愉しめる革を、女性向けの商品なら使い始めから柔らかくフォルムもなるべく変化しづらい革を、などお客様をイメージした商品を作る上でより希望に沿った革に近づけることが出来、そして革の可能性は無限に広がるわけです。
Alt81の商品も様々ななめし方法を施した革を使用しています。そして、なぜその革を選んだか理由があります。商品に使用している各革を詳しく説明したページをご用意しておりますのでぜひ見比べてお好みの革を発見してみてください。
フルタンニンなめし
(通称:フルタン)
クロムなめし
ヘビーレタンなめし
(通称:ヘビタン)
別名「コンビネーションなめし、複合なめし」
※ ヘビタンは、フルタンやクロムなめしと違い使用するなめし剤の組み合わせによって方法も出来上がる革の特徴も異なるため、フルタンやクロムなめしのように一概に定義することが出来ません。また、原皮に最適ななめし剤の組み合わせ、なめし方法をタンナーは常に研究を重ね作り上げているため、現在もヘビタンの種類は増え続けています。